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カナヅチ 

 

エアコンが壊れた軽自動車は 僕たちを遠くへ運ぶ

ドライブスルーで買ったジュースの氷はすぐ死んでしまった

 

「早起きしたから寝ていいよ」と言うと君は「勿体無い。」って笑う

その数分後、僕の左手を抱きしめながら結局、君は眠った

 

どうしようもないほど会いたい夜に限って

どうしようもない理由で会えないから、尖らせた口を必死で戻した

 

君がいない夜、一人きりで泳いでる

でも、溺れてしまうんだよ 君がいないと

安心するんだよ、汗ばんだ小さな手を握っている時だけ

世界を愛せた気がした

 

弱すぎる自分を背負い投げして

二度と立てないようにしたんだ

でもゾンビみたいに蘇っては、僕の強さを奪った

 

どうしようもない事を考えたとこで

どうしようもない事わかってる、それなのに

思考に勝てないんだ

 

クロールは出来るけど、息継ぎができないんだよ

焦る僕、その理由はさ、死ぬ事じゃなくて

早く行かないとさ、君が誰かの元へ

行ってしまう気がした

 

 

身長もあるし、お金もそこそこにある

誰より君の事を愛しているのに

何がダメなんだよ 他に何がいるっていうんだよ

 

君がいない夜、一人きり、溺れていく

まぁ、もう慣れてるけど やっぱり辛いよ

浮き輪がほしいんじゃなく、どうせ沈んでいくなら君と沈みたいんだよ

そんな僕のカナヅチソングを

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