
「椿の花」
あなたは「あなたの事が好きなあたし」が好きだった。
だから、あたしは「あなたの好きなあたし」であり続けた。
それ以外のあたしを、あなたは必要としていなかった。
とても苦しかった。
それでも、あなたの横にいられる幸せを、一欠片も失いたくなかった。
色んな感情に蓋をして、耳を塞ぎ、目を瞑った。
自らを盲目にする事で、なんとかやり過ごした日々だった。
1日の「いい日」「悪い日」という基準が、全てあなたで決まるような日々だった。
あなた以外何もいらないと、心から思えた。
全ては「過去」の話。
未来は前にあり、過去は後ろにあるのだ。
きっと、いつ振り返ろうとずっと同じ温度で、あなたの事を思い出す。
そんな恋だった。
生まれて初めて、人を愛した日々だった。
そんなお話を少し。
「あなたに恋していたあたし」
にあたしは今、