
0339
優しい猛毒に侵されたような。
悲しい抱擁に包まれたような。
どれだけ、カッコつけて形容しようとも、今の気持ちに当てはまる言葉はなかった。
ただ、ひたすらに
「悲しい。」のだ。
「当たり前にあるもの」
ほど
「当たり前になくなる」のだ。
これは、悲しいさよならのお話。
あくまで、普遍的な別れの話。
とても退屈で、窮屈な終わりの話。
もう、どれほど時を遡れば、出会った頃の話になるだろうか。
振り返った時、
「とてもフワフワとした出会いだった。」
という僕と、
「とても衝撃的な出会いだった。」
という君。
同じ「出会った1日」の事を、僕らは振り返った時に、正反対の言葉を吐き出す。
そもそも、その時点で僕らは「合わなかった」のかもしれない。
食べ物の趣味も、まるで違う。
好きな季節も、夏と、冬。
育ちも、良いと、悪い。
背も、高いと、低い。